「よし!このサンタ効果で子供の心を鷲掴み!自動的にその親もくっついてくるというこの作戦!
これでクリスマスは稼ぎに稼ぎまくるぞぉ〜!!」


ハッハッハという店長の笑い声が店内に響き渡る。


亡者だ…金の亡者がいる…!!









「お前ほんとにやる気かよ」


ミルフィーユからの帰り道。

桐原さんと私とお姉ちゃんで、三人でクリスマスのイルミネーションに彩られた道を歩いていた。


「はい?何がです?」

「サンタクロース」

「…仕方ないじゃないですか…私はオヤジの涙に弱いんですよ…」

「何だそれ」



あぁ。それにしても寒いなぁ。息が白い。手が冷たい。



はぁ、と息を両手に吹きかけた。


桐原さんはダウンジャケットのポケットに手を突っ込んで歩いている。


あぁ…手、繋ぎたいなぁ。



「なんだよ」



桐原さんが私の視線に気付いて不審そうな顔をした。

私がそんなこと思ってるなんて全く考えてないんだろうな、この人。



「…別に」

「何だよ、何かあるなら言え」

「なんでもないです〜」

「…なんかカチンとくる物言いだな」

「そうですかぁ〜?」

「その語尾伸ばす喋り方やめろ!」


ガシ、と突然桐原さんが私の頭を鷲掴みにした。


「痛っ!ちょ、何ですか!」

「…お前頭ちっさいな」

「ちょっ!どうせ脳みそ少ないですよ!バカですよ!アホですよ!悪かったですね!?」

「誰もそこまで言ってねーだろ」