「とりあえず……家入ってもいいですか?」



「いいけど。…てか、優花さんの娘なら俺と同じ年。敬語じゃなくていいから」



そう言って、イケメンさんは私が肩にかけていた旅行バッグを奪うように手に持った。

そして空いている方の手で、地面に置いて手を離していたスーツケースを持ち上げる。




「えっ、ちょ自分の荷物だから自分で持ちます……じゃなくて、持つよ!!」



「……荷物の重さでダラダラされたら困るから。……お前のせいで今日の予定総崩れ」



最後にため息が聞こえてきそうな口調で、そう冷たく言い放ちスタスタとリビングへ向かっていく彼。



……なんか、この人の性格は王子様じゃない気がしてきたよ。



一抹の不安を覚えつつ、私は彼の背中を追ってリビングに入った。