「走って私のところまで来てくれてありがとう!!」
「…バーカ。何改まってるんだよ」
そう言ってコツンッと実花の頭を軽く叩くと実花は少しためらいがちに俺の手を握った。
「帰ろっか!!今日の晩御飯はあんかけ皿うどんだよ!!」
握られた手を握り返し、俺と実花は一緒に歩き出す。
「俺、うずらの卵多めで」
「じゃあその分私は自分のかまぼこ増やしちゃおー」
いつもとさして変わらない会話をしながら歩く家への道。
会話も歩幅も前までのふたりと変わらないけど、ふたりの関係は確かに変わった。
それから……俺、前よりずっと実花のことを好きになってる。
皿うどんに入れる材料を指折り数えている実花を見下ろし、小さく微笑んだ。