「お前さ、本当に俺のことが『人として好き』なの?」



そう言うと実花は表情を強張らせ、半歩後ろに下がった。

半歩そっちが下がるなら、俺が大股1歩踏み出してやる。
ふたりの間に距離をおくものか。



「『人として好き』なら、俺に奈津美と付き合ったらダメとか言わなくない?少なくとも俺は言わない」



「それ、は……」



目を泳がせ、また半歩実花は後ろに下がる。

それに合わせ俺も1歩前へ踏み出す。



「…もしも俺が実花が誰かに告白されてたら、こう言って邪魔しに入る」



すうと軽く息を吸い込み、実花の耳元で囁いた。