あんなことを言って逃げた手前、電話をとるのに躊躇してしまう。

携帯の画面を見つめたままじっとしている私を不審に思ったのか、秀君が私の携帯を覗き込んできた。



「あれ、湊からじゃん。実花ちゃん、なんで電話つなげない……」



そう言いながら私の顔を見た秀君は、何かを悟ったような表情を浮かべた。

そして私の手の中から携帯を攫ってしまった。



「ちょっ、秀君!?」



立ち上がった秀君は頭上高くに携帯を掲げ意地悪く笑う。



「好きなアイドルとか女優が誰かと付き合ったり結婚したりするのってファンからしたら結構寂しいことなんだよなー」


「なんで今そんな話を!?携帯返して!?」