「あ……アイドル?」
キョトンとしてそう聞き返すと斎藤君は大きくうなずいた。
「そう!!手が届かないって分かり切ってるから、恋愛関係になりたいっていう感情は無いけどすごい好きで……ファンって感じ?」
「ファン…そっかぁ、ファンか!!あはははっ!!」
少し、ほっとしてしまった。
人からの好意を受け止められないのは辛い。私はそのことをすでに何度も思い知らされている。
ありがたいことに、何人かの人が『好きだ』って私に気持ちを伝えてくれて。
でも私はそのたびに『ごめんね』を言ってきた。
その時に見る相手の人の表情が曇っていくのが本当に辛くて。
だから安心したんだ。
私は斎藤君からの好意の形なら受け入れられる。
『ごめんね』なんて言わなくていい。
悲しい顔をさせなくていい。