ふるふる、と首を振って否定しつつ湊君の行動に意識をやる。
ソファから立ち上がった湊君はテーブルを回って私のもとにやってきた。
そして正座している私の背後に立ち止まった。
何事かと思い振り返ろうとしたけど、湊君の行動の方が私の行動よりもほんの少しだけ早かった。
背中にじんわりとぬくもりが広がる。
そして、耳元で大きなため息が聞こえてきた。
「ハ――、本当良かった……」
「……え?」
がっちりと背後から抱きしめられているせいで、私は振り返って湊君の顔を見ることが出来ない。
ねえ、湊君。
湊君は今どんな顔をしているの?
怒っていないの?呆れていないの?