だからね、言えなかったの。


それにその犯人は湊君のことが大好きな人だから。

湊君にその人を嫌いになって欲しくなかったの。


好きな人に嫌われるのは悲しいこと。
それは私にも分かるから。



「黙っててごめん。隠し事されるの気分悪かったよね」


「……ほんっとに気分悪い」



低い声でそう言われ、心臓が嫌な音を立て始める。

怒りを通り越して、ついでに呆れまで通り越して嫌われちゃった?


それもまあ、しかたないかも。
だいぶ悲しいことだけど。