「……なあ実花。俺はお前のお父さんと同じくらい、お前を……」
―――ド――ン!!
その時、大輪のオレンジ色の花火が夜空に打ち上げられた。
息を飲むほどの美しさ。
海面に光がうつっていることで、まるで水中にも花火が打ちあがっているかのような感覚を覚える。
遠くから花火大会の開始を告げるナレーションと、花火についての説明が聞こえてくる。
「すご……綺麗としか言いようがない」
実花はそう言って、消えゆく花をじっと見つめる。
「……あっ、そうだ。湊君さっきなんて言ってたの?『お父さんと同じくらい、お前を』の後。聞こえなかったの」
数秒、間を空けた後俺は口を開いた。