「早く着替えないと遅刻するけど」
そう言う湊君はすでに制服に着替えている。
その湊君の頭の上に見える壁掛け時計を見ると、確かに少し急がないと遅刻しちゃうかもしれないなっていう時間だ。
……あれ?
「湊君、なんでこんな時間まで家にいるの?」
いつもは私よりもずっと早く家を出ているのに。
「……自分の看病してくれた奴を無理やり起こすことも遅刻させることも出来るわけないだろ」
そう言って湊君は私のすぐそばにしゃがみこみ、私の手首をつかんだ。
そしてそれをそのまま自分の額に導き私の手のひらをピタリと当てる。
「実花のおかげで熱下がった。ありがと」