「......でも、別にわざと態度変えてるわけじゃないけど。及川さん以外の女子とはほとんど話すことはない」
「そうなの?」
なんで?と思ったけど、確かに私は宮田君が女の子と話してるのを見たことがなかった。
ていうか、男子相手だってこうやって笑ったりするのあんまり見たことない。
「なんつーか。面倒くさい」
「なにそれ」
「仕方ないだろ。なんか、必要以上に話すの面倒くさいんだよ」
「........」
「及川さんだと、なんだろ、もっと色んな表情見たくなるし、こうやって話しても苦じゃない。むしろ楽しいよ、俺は」
「うん」
そっか。
私も宮田君とのこの穏やかな感じ嫌じゃない。
確かにむしろ、心地いいくらい。
お互い気を使う感じもないし、なぜか素で居られるから楽だった。
道路に映る、並んだ二人の影が綺麗だった。
それがまた、なんとも言えず、心地いい。