更にそこへ、則武と裕樹扮する、カール大帝とモーツァルトが現れ、四つ葉のクローバーの如く輪になり話し出したのには、婦女子たちも我慢ならなかった。

群を成し、四人に近付く、見た目麗しき貴婦人たち。
清は咄嗟に琶子を背中に隠す。

「カール大帝、ダンスのお相手して頂けませんこと?」
「モーツァルト様、本日のお料理も大変美味しゅうございます」

「ルートヴィヒ2世、あちらでわたくしとお話を……」と話し掛けたエリザベス一世を、清の冷淡な眼が追い払う。

「あっ、ごめんね、子猫ちゃんたち。マリー・アントワネットとの約束が先だから、その後でね」

「お褒め頂き恐縮です。本日もレストランMが担当させて頂きました。皆様に喜んで頂き、恐悦至極でございます」

裕樹が紳士のお辞儀をすると、婦女子たちの間からピンクの溜息が漏れる。

「どうぞ、我々にお構いなく、お食事を楽しんで下さい」

裕樹はそう付け加え、フードコーナーに目をやり、行って! と有無も言わさぬ強制的な目線を送る。