「どうしよう。バカだ私」
「だな。俺は知らねぇぞ。碧人、お前が責任持ってどうにかしろよ」
「え? 俺が?」
「そうね。涼香のドジを助けるのも、碧人の役目よね」
オロオロする私をよそに、碧人はオークとレイから詰め寄られていた。
私自身、どうしていいか分からない。
もう一度チョークで願い事を書いてみる?
思い立った私は、もう一度チョークを黒板にあてる。
試してみる価値はある。
ダメならダメで、他の手段を考えればいいだけだ。
コツッ。と音を立て、黒板に願い事を書き始めた私を、オークが止めた。
「おい、なに書いてるんだよ」
「今、書いた願い事を取り消す願い事を記してみたらどうかなと思って」
「そんな事しても無駄だぞ。一度書いた願い事が黒板から消えた時点で、取り消しは出来ない」
「そんな……」
「後は、本気の願い事じゃないと判断されることを願うしかないな」
ハァーッと、ため息をついたオークに私は首を振る。
本気の願い事じゃない。
なんてことは、ないのだ。
私は、本気で記憶を残したいと思っている。
だから、黒板に書いてしまった願い事は、かなり本気で描いてしまった。