「碧人が要らないなら、俺は構わないぜ」
それまで碧人とレイの押し問答を黙って眺めていたオークは、腕組をして教壇の上であぐらをかいていて座っていた。
「何言ってるのよ、オーク。これが粉々になったら、どうなるか分かってるでしょ」
「あぁ。分かってるさ。でも、それが碧人と涼香の望みなら。俺はそれでもいい」
焦っているレイに対し、冷静に答えるオーク。
そんな二人を眺めている、碧人と私。
レイは何を言っているの?
私達に渡されたチョークが粉々になってしまったら、何が起こるというの?
ただ、碧人を止めようとしているレイの必死さに、尋常ではない不安を覚えた私は、無意識に碧人の手から二本のチョークを奪っていた。
「涼香、返せよ」
「いや。レイが……。レイが、こんなに必死に止めてるんだもん。きっと、レイにとってもオークにとっても悪い事が起こる気がする」
私からチョークを取り返そうとしている碧人に背を向け、私はチョークを握りしめたまま胸元で二本のチョークを奪われない様に守る。
「レイ、教えて。このチョークが粉々になったら何が起こるの? レイとオークはどうなっちゃうの?」