半信半疑の状態で、黒板に願い事を書いてみた。


すると。

文字は、キラキラと輝きを放ち。

スッと静かに、黒板に溶け込む様に消えてゆく。


「うそ。勝手に消えた」

「これで、あの彼女は彼に告白していない」


得意げにウィンクしたレイは、廊下の方を気にするとサッと、その身を消した。


「え? ちょっと、何処行ったの?」

「……黒崎?」


キョロキョロとレイの姿を探していた私に、声をかけて来たのは碧人だった。

何故、碧人が教室へ戻って来たのか分からない私は、挙動不審に辺りを見渡す。


「まだ残ってたんだ?」

「あ、うん。委員会の仕事が……ね」


足元に置いてある模造紙等を拾い上げる為に座り込む。

そんな私を手伝う為に、碧人は駆け寄って私の隣りにしゃがんだ。


「これ、明日配るプリント?」

「うん」

「こっちは?」


碧人が手を伸ばしたのは、クルクル丸めた模造紙。

何気なく、その模造紙を広げると中から光るレイが現れた。


「うわぁっ」


驚いた拍子に、私はとっさに碧人の腕にしがみつく。

肘まで捲っている碧人の白シャツに顔を埋めた。


「……涼香? どうした?」