目の前に広げられた碧人の掌には、既に碧人が持っていたチョークが乗せられている。
私はポケットからチョークを取り出すと、碧人の掌に乗っているチョークの隣りにコロンとチョークを並べた。
碧人はいったい、何をしようとしているんだろう。
私の持っていたチョークと、碧人が手にしていたチョークは、碧人の掌の上で七色の光を放つ。
それは、今までに見た事が無い光だ。
二本のチョークは共鳴するように、お互いの存在をアピールし合っているように見える。
「俺がオークから貰ったチョークは、過去にも未来にも行けるチョークだった。けど、涼香が手にしたチョークは違っただろ?」
「うん、そういえば……」
確かに。
私がレイから貰ったチョークは、願い事を叶えるチョークだ。
碧人の持っているチョークの様に、過去や未来に行けるわけじゃない。
私が未来を覗きに行けたのは、レイが輝く粉をチョークに掛けたから。
「違う力を持つチョークが揃ったら、何が起こると思う?」
「碧人?」
分かるわけがない。
そんな事、考えた事も無かったんだから。
私を見下ろす碧人に、答えの分からない私は左右に首を振る。