碧人は何を言っているの?

過去をやり直していた……って? 未来をやり直していた……って?

この学校に入学した頃に、オークと出会っていた……って、どういうことなの?


それって。

それって、つまり。

私がレイと出会うよりずっと、ずっと前に。

碧人は、オークと出会っていたという事なの?



今の状況を受け入れるには、暫く時間がかかってしまいそう。

だって、私の他に妖精と出会っている人がいて。

それが碧人で。

私よりも先に、七色のチョークを手にしていて。

碧人は、そのチョークを使っていて……。



不思議と湧き上がる疑問は、次から次へと湧き上がる。

そういえば、10年後の27歳になっていた碧人も。

引っ掛かる言葉を、何度か口にしていた事を思い出した。

あの時は、それほど気にも留めていなかったけれど。

今、思い出せば。

やっぱり、おかしな言動が多かった気がする。


明らかに戸惑いを隠せていない私の頭に、碧人の手が優しく乗せられると。

髪を撫でられ、片方の耳に髪をかけた。

そして、フェイスラインを碧人の指がなぞる。


「何度、同じことを繰り返しやってんだろ。いい加減、先に進みたいんだけど」


碧人の言葉に、私の中で全てが繋がった気がした。


「碧……人、碧人は10年後にも……」

「行った」