「何言ってるの。私はココで一部始終見てたわよ。さっき、彼に優しくされていた女の子にヤキモチ焼いてたじゃない。それに、彼を想って泣いてた」

「あ……」


一部始終を見られていたなら、否定のしようがない。

黙り込んだ私に、レイは言った。


「この学校の伝説を利用すればいい」


レイが差し出した右手に、導かれる様に右手を広げ手を伸ばす。

コロンと掌に落とされたのは「七色に輝くチョーク」だった。


伝説は、ただの噂じゃなかったという事を証明しているかのように、なんとも言えないくらい綺麗な色をしたチョークが、掌で眩く輝いている。


「ここの生徒なら、黒板の伝説を知っているでしょ?」

「聞いた事あるけど、赤とか黄色とか。単色を七つ集めて、七色のチョークで相合傘を書くんじゃないの?」


答えた私を「アハハッ」と大きな口を開けて笑うレイ。

そして、宙を飛び回りながら私の鼻をチョンと指で突いた。


「何それ? あぁ、きっと話が途中でネジ曲がっちゃったのね」


「本当はね……」と言って、レイは私の手にしている七色のチョークの、本当の使い方を教えてくれた。