「大丈夫か?ちょっと休めよ、ほら」


手術室の前で椅子に座り込む私に差し出されたのは、糖分たっぷりの甘いホットココア。


「……ありがとう」


ココアを受け取り、目を伏せる。


突然の再会過ぎて、何を話せばいいのかわからない。


「まさか……あそこでしずに逢うとは思わなかった」


そんなの……。


「私だって。まさか、れおが帰って来てるなんて思わなかったよ」


昔と同じように手話でそれを伝える。


8年前とは比べ物にならないほど、ずいぶん上達したでしょ?


8年見ない間にれおはずいぶん大人っぽくなっていて、スーツ姿にドキドキが止まらない。


相変わらずカッコ良くて、爽やかで。


一緒にいてこんなにドキドキするのは、やっぱりれおだけだ。


それからはお互い黙り込んでしまい、気まずい沈黙が流れた。


レイ君の手術も無事に終わり、そのまま入院することになったので気になりつつも学校に戻ることに。


もう夕方の5時を回っていた。


「しず、これから少し時間ある?」


「これから……?」


「久しぶりに逢ったし、良かったらどっかで話したいんだけど」


照れたように頬を掻くれお。


ゆっくり話したいのはやまやまだけど。


「ごめん、一度学校に戻らなきゃ。連絡先変わってない?」


「うん、そのまま」


「なら、また今度連絡する」