とにかく今はレイ君のことで頭がいっぱい。
レイ君……。
「救急車呼んで、119番」
レイ君のお腹を触診したり、脈を測ったりしていたその人はジャケットを脱いでレイ君の体に被せた。
「あ……きゅ、救急車！えーっと、スマホ」
あ、あれ？
スマホがない。
そういえば、カバンを中に置いて来ちゃった。
「藤里君、スマホ持ってる？救急車お願い」
「あ、ああ。119だな……っ」
藤里君が救急車を呼んでいる間、レイ君に付き添って手を握っていた。
救急車は5分くらいでやって来て、私が付き添いで一緒に行くことに。
「医者なんで、俺も一緒に行きます」
「わかりました、では急いでこちらへ」
救急車で病院へ向かっている間、ずっとレイ君の手を握っていた。
「多分、急性の虫垂炎だと思う」
「虫垂炎……？」
「俗に言う、盲腸ってやつ」
「も、盲腸……それって、大丈夫なの？」
「ああ。緊急手術が必要だけどな」
手術……。
ウソでしょ。
搬送先はすんなり決まり、診察後レイ君はそのまま手術を受けることになった。
手術の手続きのためにご両親に病院に来てもらったり、学校へ連絡を入れたりしている内にあっという間に時間が過ぎて行く。
