状況がわからないのでとりあえずレイ君をベンチに寝かせたけど、さっきよりも明らかにぐったりしている。
顔色もかなり悪い。
「レイ君、レイ君……」
「月城、落ち着け。あんまり揺らさない方がいい」
「で、でも、レイ君が……どうしよう、藤里君」
「落ち着け。この辺って病院あったか?それか……救急車を呼ぶかだな。けど、えーっと何番だっけ?」
「この辺来たことないし……きゅ、救急車。110番だっけ……?」
「それは警察だろ?レスキューって何番だ……」
えーっと……。
まともに頭が働かない。
その間にも容態が悪くなっていくレイ君。
藤里君と2人で慌てふためいていると、異変に気付いたスーツ姿の男の人が駆け寄ってきてくれた。
「どうしました?」
えーー?
ーードクンドクン
ウソ……でしょ。
なん、で……?
時が止まったかのように息が出来なくなった。
信じられなくて、放心状態のまま固まる。
向こうも私と目が合うと、大きく目を見開いて固まった。
な、なんで……。
ウソだ。
これは……夢、だよね?
「……っう」
ハッ!
そうだ、レイ君!
「この子が急に腹押さえて苦しみ出して……顔色も悪くなってくし、呼びかけにも応えてくんねーしで」
藤里君が早口で捲し立てる。
私は藤里君の言葉を手話に切り替えて目の前の人に伝えた。