星が瞬く中、肘掛けに置いていた手に藤里君の手が置かれた。


ビックリして引っ込めようとしたけど、ギュッと掴まれてしまった。


「ふ、藤里君……?」


「本気出していい……?俺、月城のそんなツラそうな顔見たくない」


「な、なに言ってるの。みんないるんだよ?とりあえず、離して……」


「ムリ」


「ちょ、ちょっと……」


離そうとすればするほど力強く握られる。


こんな時になに考えてんの?


信じられない。


「うぅ……っ」


その時、私の隣に座っていたレイ君がお腹を抱えて丸まっているのが目に入った。


苦しそうな横顔を見て、ただ事じゃないのがすぐにわかった。


「ふ、藤里君、レイ君がなんだか変」


「え?」


「とにかく離して!」


思いっきり腕を振り払い、レイ君の様子をうかがう。


「どうしたの、レイ君。どっか痛い?」


「うー……っ」


私の声が聞こえないのか、レイ君はうずくまったまま動かない。


全身に汗をびっしょりかいて、額にも冷や汗が浮かんでいた。


「レ、レイ君……大丈夫?」


どうしよう……。


どうしたらいい?


どうしたら……。


「藤里君……どうしよう。レイ君がおかしいよ。お腹が痛いのかな?」


でも、この痛がりようは普通じゃない。


「他のみんなは副担に任せて、とりあえずここを出るぞ」


藤里君はレイ君の小さな体を抱き上げ、薄暗い館内から出た。


副担の先生に事情を説明し、私も大慌てで後を追う。