この1年で変わったのは自分だけではなく、しずや大雅もなのだと改めて思い知らされた。


俺の知らないしずがいる。


俺の知らない大雅がいる。


俺の知らない2人の歴史がある。


それが俺の望んだ結果であり、2人から逃げた代償でもある。


2人がどんな関係に進展していようと、口出しする権利はない。


だから……俺が傷付くのはまちがってる。


寂しい、嫌だ、腹立たしい……なんて、そんなことは絶対に口にしてはいけない。


しずも大雅も良い奴だから、2人が幸せならそれでいいじゃないか。


大雅はガキッぽいところもあるけど、昔からしず一筋だったから大切にしてくれるだろ。


しずも大雅の隣にいる方が笑っていられる。


それが……俺の望んだ結果。



「お前、しずのことどう思ってんの?」


「どうって……別に。ただの幼なじみだけど」



出来るだけ冷静に、落ち着いた態度で返したつもりだった。


しかし、大雅は今度はカバンの中からノートを取り出し、そこに文字を綴り出した。


かろうじて片耳が聞こえていた時には、大雅は一度もこんな風にしたことがない。


何も話していないのに、まるで俺の両耳が聞こえないことを知っているかのようだった。



『そんな建前はいらねーんだよ!お前のその胡散臭い笑顔、見ててイライラする。本音を聞かせろよ!』



胡散臭い笑顔って、こいつ……。


なかなか言ってくれる。


本音……。