1年かけてあらゆる手話を勉強したけど、まだまだ基本的な会話しか出来るようになっていない。
それでも、出来なかった頃に比べるとスムーズに会話が進むようになった。
授業もすべて日本手話で行われるため、家に帰って予習をしないとついていけないのが現状。
1年経った今は、少しは授業内容が理解出来るようになったけど、それでもまだまだわからないことの方が多い。
覚えることが多すぎて弱音を吐きたくなることもあったこの1年。
それでもただがむしゃらに、何かから逃げるようにして余計なことは考えずに走り続けて来た。
そんな中、大雅から届いたメッセージ。
放課後になって、帰りの電車に揺られながらも、俺はまだ迷っていた。
行くべきか、行かざるべきか。
いや、普通に考えたら行かざるべきだろう。
だけど、このままでいいのだろうかとふと疑問に思うことがあった。
このまま逃げ続けるだけの人生でいいのか?
後悔するんじゃないのかよ?
両耳が聞こえなくなった日から、俺の中の時間は止まってしまったままだ。
本当にそれでいいのかよ?
もんもんとしながら歩いていたら、いつの間にか足が自然と公園に向いていた。