彼と出逢ったお陰で……


世界に色が付いた。


今私は楽しいんだと思えるようになったし、楽しみだと思えることも出来た。

道端にたった一本咲いている花に気付くようになったし、逞しくてかっこいいと感想まで抱けるようになった。


彼がくれたもの。

彼がいたことでプラスになったこと。


まだまだ滝のように思い付く。


『ああ!さっきのとこカットしようかな!

優梨花ごめんなー!朝から!』


彼は話をしんみりさせてしまったことを後悔しているらしい。


しかし聴いている限り、多分どこにも編集した部分はない。

どのように思い直したのか、結局カットはしなかったらしい。


あなたがどう考えたのかはもう分からないけれど、私はあなたの真意が聞けて良かった。


詰まってしまった鼻を啜る。


こうやってたくさん想いを残してくれたら、あなたが居なくなってしまった世界でもあなたのために生きられる。

あなたにお返しができる。


『んじゃ、もうボロを出さないように、今日はこの辺で。

また明日な!』


今日の終わり方も昨日と同じで、突然で軽いものだった。


私はイヤホンを耳から外し、深呼吸をして伸びをした。