『えーっと、あっ、これで録れてるんだよね……?あーあー。

はい、瞬一です。久しぶり。

元気にしてた?ちゃんとご飯食べてる?

優梨花は俺がいなかったら、何も出来なくなるんじゃないかって心配です。


……ごめん。それは言い過ぎだな。

優梨花は本当に強くなったからな。

というか、強さを上手く使えてなかったんだよな』



彼だ。彼がここにいる。

忘れられない彼の温もりが一気に蘇る。


ただ声だけなのに、私の体と心は彼に抱きしめられた時のようにほっこりと温かくなった。


一瞬で両目から涙がこぼれ落ちた。


ぐずんぐずんという嗚咽に、彼の声が遠のきかける。

彼の一言ひとことどれも聴き逃したくなくて、私は必死で嗚咽をこらえた。


『まず、優梨花に謝りたい。――ごめんな』


私ははっと息を呑んだ。

自分の今まで思っていたことが思い出される。


『置き去りにしないって言ったのに』
 

約束を破った。裏切った。

私はそう言って、彼を詰っていた。


『本気で治してやるって思ってたんだけどな。

さっき先生の話を聞いてきたんだけど……うん、無理みたいだ』


ごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・・・・

どうして私は、彼が約束を破っただなんて思ってしまったのだろう。

彼が約束を破ったことなんて、今まで一度もなかったではないか。

今回だってどうして彼を信じ続けることができなかったのだろう。