『優梨花へ


 元気?これを見ているということは、もう俺は死んだんだね。

 詳しくは、録音の方をきいてほしいので、ここには最低限のことしか書きません。

 見てくれたら分かるように、SDカードには①から順番に⑬まで書いてあります。

 普通はそうするだろうけど、①からきいてね。(①は録音機にセットしてあります)

 あと、いろいろ赤裸々に語ってるから、恥ずかしいからひとりできいて!これだいじ!!

 では、後は録音機でお会いしましょう!

 なんちゃって……

                                                                                瞬一より』



最後に照れてふざけてしまうのが、彼らしくて私の顔はほころんだ。

長く笑っていなかったせいか、頬の筋肉が硬くなっていて、自分の笑い方がぎこちないのが分かった。


私は急いで、録音機を手に取り電源ボタンを押した。

立ち上がるまで時間がかかる。


待ちきれなくて胸を引っ掻きたくなるような気持ちで、イヤホンを両耳にはめた。

いつもなら何の気なしに待てるこのわずかな時間が、とてつもなく長く感じられる。


立ち上がった瞬間に、トラック1を再生した。



すると、忘れることなんて出来ない、この世でいちばん大好きな彼の声が両耳にあふれた。