「よろしくね、小日向くん」
「うん」

私が小日向くんに笑いかけると、小日向くんは携帯電話をポケットにしまいながら、小さな笑みを浮かべた。

小日向蒼人くんは、灯の中学時代からの親友。
私とは、去年からずっと同じクラスだ。
ただ、会話するようになったのは灯と付き合い出してから、だけど。


小日向くんは灯とは違い、クールで落ち着いている。
そして、その性格と整った容姿から、女子にすごくモテているんだ。

灯も女子にモテるし人気者だけど、小日向くんは、灯とは少し違うタイプの人気者だ。


「じゃあ、あとは女子一人か・・・。冬穂、誰か誘ったら?」
「うん・・そうだね」

灯にそう言われ、私は教室を見渡した。
でも、同じ班になりたい子は見つからない。

私にも友達はいるけれど、特別仲の良い友達はいない。
だって、私と友達の人は、大抵私よりも仲の良い友達がいるから。