心が、圭汰のことばかり見ているんだ。
圭汰のことばかり、追いかけているんだ。

目の前にある大切なものに気づいているのに、戻れない過去ばかりに執着している私は、正真正銘の愚か者だ。


「どっちが速いか勝負な!そうだなー・・負けたら、勝った人の言うこと何でも一つ聞くことにしようぜ」
「ちょっと、絶対ともが勝つに決まってるじゃん。嫌だよ、言うこと聞くの」
「大丈夫大丈夫。変なこと頼まないって」
「いやいや、そんなの信じられないよ」
「ははっ。よし、じゃあ行くぞ。よーい・・・」
「えっ、ちょ、待って!」
「・・・スタート!」


灯への罪悪感に胸を苦しめながら、私は必死に泳いだ。

私の心の中にある本当の気持ちを探すように、もがいて、もがいて、もがいた。