電話を切ってすぐ、灯が家に来て、私達は近くの市民プールへやって来た。
「めっちゃ泳ぎたい!飛び込みたい!」
「飛び込んじゃ駄目だよ」
プールを目の前に、テンションが上がっている灯を、くすっと笑う。
「よしっ!泳ぐぞ、冬穂!」
灯は私の右手首を掴んで、二カッと白い歯を見せると、そのままプールに向かって走り出す。
「ちょっ!とも!」
私は左手で灯の手を手首から放そうと、必死に抵抗する。
だって絶対、灯はプールに飛び込むつもりだから。
だけど灯は、そんな私の制止を無視して、そのまま私を巻き込んでプールに飛び込んだ。