私は携帯電話を握る手に、力を込めた。

圭汰にまだ未練がある自分への情けない気持ちと、灯に対する申し訳ない気持ちで、胸が潰れそうだ。

「なあ、どう?」

灯が私の様子を窺うように、そう問う。

「・・・うん、いいよ」
「本当?やった!」

灯の喜ぶ声が聞こえ、私は小さく微笑みながら、心臓を力いっぱい握られているような心苦しさを感じた。



「おーー!水だーっ!」

そう叫びながら、灯は両手を上げて、背伸びをした。
私はその隣で、日差しの強さに目を細めながら、目の前のプールを見つめる。