あの後、勝手に帰った私の荷物を届けに、灯が家へやって来た。
私は泣いている内に眠ってしまったため、代わりに母が荷物を受け取った。


次の日灯に謝罪のメールを送ろうと思ったが、何故か躊躇ってしまい、結局、私から連絡を取ることはしなかった。

だけど、灯はそんな私にも優しくて、『夏祭り楽しかったな』とか『大丈夫?』とか、沢山メールを送ってくれた。
でも、返事を打とうとする度に、圭汰とキスしてしまったことが脳裏を過ぎり、私は何も返事出来ずにいた。


そんなある日、テレビドラマをぼーっと観ていると、近くにあった自分の携帯電話が震えた。

それを手に取り画面を見てみると、『灯』の着信表示が出ていた。
私は少し躊躇するが、いい加減避けていては駄目だと思い、電話に出る。

「・・・はい」
「あ、冬穂?灯だけど」
「うん。えっと・・・何?」