「よし、こんなもんでいいだろ」
彼は散々床を汚した後、そう言って足を上げた。
「これじゃ、汚れをひどくしただけだよ」
「大丈夫、大丈夫。帰ろうぜ」
「ちょっと・・・!」
私の言葉を無視して、彼は私の鞄を肩に掛けた。
そして彼は、さっさとドアへ向かって歩き出す。
その後ろ姿を追おうとした時、チョークを持っていたことを思い出し、私はそれに視線を向けた。
「・・・・。」
砕けてボロボロになったチョークと真っ白に汚れた床の一部が、目だけじゃなくて、心にも映ったような気がした。
・・・私は、一体何をしているのだろう。
見せかけの幸せを手に入れて、嘘の恋をして。
私が本当にしたい恋は、誰との恋?