「・・・それでも、時々思うんだよ。別れなければ良かったなって。嫁じゃなくて、冬穂を選べば良かったなって」

嘘吐き。

そんなこと、思っていないくせに。
そんなこと言ったって、私のものにはならないくせに。

「馬鹿じゃないの。今更そんなこと言ったって、もう遅いよ」
「だよなー・・・お前にはもう、彼氏がいるし」
「そうだよ。私達は、もう一緒になんて、なれないんだから」

私はそう言いながら、少し目を伏せる。
圭汰がこちらを見たのが分かったけれど、恐くて、目は合わせられなかった。


ーードドンッ

その時花火が打ち上がり、私は俯いていた顔を再び上げた。

大きく赤い花の形をした光が、空に映し出される。
ここからじゃ、木に隠れて下半分が消えているけれどちゃんと見たら、きっと、もっと綺麗なんだろうな。


「綺麗だな」
「うん・・・。綺麗」