「・・・・。」
私は焼きそばを買わずに、灯の元へ向かって歩いていく。
焼きそばを欲しがっていた灯には悪いけど、早く灯の顔を見て、現実を思い知りたい。
もう圭汰と手を取り合うことは出来ない、という現実を。
「・・・どこ、ここ」
ふと足を止めると、目の前には大きな木がいくつも並んでいた。
そのことにより、私は、自分が方向音痴だったことを思い出す。
ちゃんと前を見て歩かなかったせいもあると思う。
屋台や人混みの音が微かに聞こえる程度で、辺りには何もない。
今が夜だということと、木があることも重なって、すごく暗い。
「どうしよう・・・」
帰り方が分からないし、ここ自体、なんだかとても不気味で怖い。