私は、お茶と炭酸飲料を屋台のおじさんから受け取った後、焼きそばの屋台を探して再び人混みへと戻る。

「焼きそば、焼きそば・・・わっ」

ーードンッ

屋台ばかりに意識を向けて歩いていたせいで、誰かの背中に当たった。

私に当たられた人物が、こちらへ振り返る。
それと同時に、私は頭を下げた。

「ごめんなさ・・・っ」
「冬穂?」

だけど、低い聞き慣れた声が頭上から降り、私は、

「えっ・・・?」

頭を上げた。


「け、いた・・・?」

目に映ったのは予想外の人物で、私はつい、昔の呼び方で彼の名前を呼んでしまう。