「よっしゃ!ストライク!」
灯がガッツポーズをしている後ろで、私はぼんやりと点数表を見つめる。
夏休みに入り、私は今日、灯とボウリング場に遊びに来た。
日直を放ったらかしにして帰ってしまったため、次の日は何か言われるんじゃないかと不安を抱きながら登校したが、圭汰が話しかけてくることはなかった。
安心したけど、少し悲しかった。
「なあ、俺って天才じゃねえ?」
楽しそうにこちらへ近づいてくる灯を無視し、依然として、私は点数表を見つめる。
あの日以来、圭汰とまともに話していない。
でも、あの日以来、よりいっそう圭汰のことを考えるようになった。
もう戻れないのに。
灯のこと、裏切りたくないのに。
「おーい、冬穂ちゃーん?聞こえてますかー?」