「・・・でも、俺も結婚して、お前も彼氏がいるんだもんな。俺ら、本当に付き合ってたのかな」
胸の高鳴りが、すっと消えた。
圭汰の言葉が、胸に刺さって痛かった。
私達、付き合っていたよ。私はまだ、先に進めていないよ。
知らないでしょう?何も。
「・・・昔のことって、忘れられたら、簡単に語れるよね」
「えっ・・・?どういう意味?」
圭汰が不思議そうに聞き返してくるが、私は小さく首を横に振って、
「なんでもない」
と、答えた。
だけどもう既に、私の一言がきっかけで、教室の空気は悪くなっていて。
「冬穂、もしかしてまだ、立ち直れてない・・・?」