自然と、教室に笑い声が響き出す。

ただ一つ、あの頃と違うのは、圭汰が既婚者であることと、私の圭汰に対する呼び方。
それが、私達の関係を“教師と生徒”に留めて、勘違いさせないようにしていた。


「そういえば先生、まだ頭下げてなかったね」
「あ?・・知らねえよ、そんなの」
「謝れ、今すぐ」
「おい、なんだその上から目線」

圭汰が私の額を、コツンと優しく叩く。

「先生はずっと上から目線だったよ」
「お前もずっと反抗的だったな」
「当たり前でしょ?悔しいもん」
「負けん気が強いことで」


懐かしい想いがまた、蘇る。
やっと忘れかけていた胸の高鳴りが、また、トクントクンと鳴り始める。


止めなきゃいけない。

分かっている。

でも、止められない。


だって本当は、ずっと、ずっと・・・。