思い出すと懐かしくて、気まずさなんてどこかへ消え去り、付き合っていた頃と似た空気が漂う。


「ああ、教頭の話とか」
「確か、奥さんが鬼みたいに恐いんだっけ?今はどうなの?」
「鬼すぎて別れたらしい。もう結婚はこりごりだって言ってたよ」
「嘘!え、じゃあ、三浦先生は?彼女出来た?」
「いーや、あいつは変わらず独り身だよ」
「モテないねー」
「まあ、性格が個性的すぎるからな」

いつか話していた世間話を、再びしている内に、私も圭汰が座っている椅子の前の席に座っていた。


「ねえ、覚えてる?私が首席入学したこと。岡本先生との約束を果たすために、私、頑張ったんだよ」
「覚えてる覚えてる。採点終わった時に、首席の生徒の名前聞いて、驚いたよ。えっ!冬穂が!?って」