心の中が、じんわりと温まる。

圭汰の言葉が、胸に刺さった。
だけどそれは、決して痛いものではなかった。


「・・・ありがとう、ございます」

私は頭を下げる。

圭汰はもう一度優しく微笑むと、今度は先生っぽく、

「・・・ただし、明日からは、廊下を走るなよ!」

と、言った。


私もその言葉にくすくす笑うと、

「はーい」

と言って、再び走り出した。


向かう先は、ただ一人。
灯だけだ。