「お、おう・・・宮咲」
別れたあの日以来、圭汰はもう私のことを、冬穂、と呼ばなくなった。
「ぶつかっちゃって、すみません。えっと・・・私、急いでいるので、失礼します」
「あっ、ちょっと待って」
私がその場を立ち去ろうとすると、圭汰に呼び止められた。
「・・・なんですか?」
「・・・深沢に、言っといて。数学の宿題早く出せ、って」
何を言われるのかヒヤヒヤしたが、かけられたのは意外な言葉で、私は目を丸くさせる。
「どうして、これから私がともに会うことを知ってるんですか?」
「えっ?だって宮咲、今すげえキラキラしてるから」
「へっ・・・?」
私が首を傾げると、圭汰はにこっと、優しく笑った。
「俺といた時なんかより、今は数倍楽しそうだよ。・・・・幸せになれよ、冬穂」
「っ・・・・圭汰・・・」