もう、触れることは出来ない心。
もう、繋ぐことは出来ない手。

それを、改めて実感した。


「そう・・・」
「それにしても、こうやって二人で話すの、久しぶりだよな」

疼く胸を切なく感じていると、圭汰が懐かしそうに呟いた。
私は、圭汰の方に視線を移す。

目が、合う。

「去年はよくこうやって話してたよな、放課後」
「・・・視聴覚室」
「ん?ああ、そうだったな。いつも、視聴覚室で話してた」

無意識に、視聴覚室の名前を口にしていた。
私にとって圭汰と視聴覚室で過ごした時間は、とても大切なものだったからだろうか。


「他愛のない話ばっかしてたね」