ううん、違う。
そんなんじゃない。
きっと、きっと・・・。
そう願っても、止まらない気持ちが、どんどん加速していく。
そして、すとん、と、大きな雫が水面に落ちて楕円状に広がっていくように、全身が理解していった。
私、灯が好き。
そうか、って。
やっぱりそうなんだ、って。
こんなに苦しいのは、こんなに切ないのは、こんなに辛くて寂しいのは、こんなにドキドキするのは、全部全部、私が、灯のことを好きだからなんだ、って。
そう気づく時は、こんなにも急なのかと思った。
そして、こんなにも遅いのかと思った。
出来れば、もっと早く気づきたかった。
灯の優しさが、愛が、私に与えられている内に気づきたかった。
どうして好きだと思った時にはもう、遠い存在になっているのだろう。
もう手が届かない場所にいるのだろうか。