ものすごく近くで、灯の吐息まではっきりと聞こえたから、心臓が、潰れそうなくらい、きゅうっと苦しくなる。
どうしよう、距離感間違えた。
「・・烏丸(からすま)と、田中」
そう言って、ニヤニヤ笑ったまま、顔をゆっくりと離した灯は、特に何とも思っていないようだった。
それに対して私は、灯がなんて言ったのかさえ覚えていないほど、動揺していた。
心臓が打つ脈がとても速くて、息苦しい。
どうしてこんなに動揺するのか、ドキドキするのか、全然分からない。
でも、なんか、なんか、苦しくて。
心臓が、煩くて。
・・・ああ、そうだ。
心が、一つの結論を導き出そうとしている。
駄目だって、理性が止めるのだけれど、思いは膨れ上がっていく。