誰が来たのか見ようと、そちらに目をやると、

「・・・・っ!」
「よう。日直、ご苦労さん」

ドアの前に立つ彼が、右手を挙げた。


「岡本、先生・・・」
「なんだよ、鳩が豆鉄砲を食ったような顔して」

意地悪に笑いながら、私に近づいてくる圭汰。

付き合っている時と同じような笑顔で、他の生徒と話す時と同じような対応をしてくるから、私とあった色々なことを忘れられているような気がして、胸が苦しくなる。

もしかしたら何もなかったんじゃないかと、また思ってしまうほど、自然体の圭汰と同じように、私も・・・なんて出来なくて、私は不自然に目を逸らし、一歩後退した。

そんな私を見て、圭汰は気まずそうに笑うと、

「・・・やっぱ、まだ無理だった?」

と言った。

私は、少し顔を上げただけだった。