「・・・冬穂、俺は、冬穂のことが一番好きだよ?」
「でも、一番に愛してはくれていない」
「何言ってるんだ・・・?」
「・・・私のこと、どう思ってるの?いつも不安で仕方ないよ。奥さんのことばかり気にしちゃうんだよ。受け入れなきゃいけないの、分かってる。分かってるんだけど・・・・悲しいよ」

瞳が涙で覆われてしまって、圭汰の顔なんて、見られなかった。

けれど、圭汰を困らせているのは分かった。
だって、圭汰はすっかり黙り込んでしまったから。


出会った当初から、圭汰が結婚していれば良かった。

そうしたら、圭汰を諦められたかもしれない。
もし付き合ったとしても、きっと、今よりは随分気持ちが楽だったと思う。

だけど、私は結婚する前の圭汰とも付き合っている。
だから、何の疑いもせずに、愛されていると感じていた時代を思い出して、それと今を比べてしまうから、何も知らないよりも辛いのだ。


「・・・ごめん、冬穂。本当にごめん」