それが愛しくて嬉しくて、私は柔らかい微笑みを浮かべる。

「・・・私こそ、ありがとう」


そう返すと、途端に会話が途切れて、代わりに甘い空気が流れ始める。

お互い見つめ合ったまま、目を離さない。


・・・キス、するな。

やはりその通りで、直感的にそう感じたのと同時に、圭汰の顔がゆっくりと近づいてくる。

ドキドキと速くなる鼓動に、私はそっと目を瞑った。


・・・・しかし。


ーープルルルル

突如車内に鳴り響いた着信音に、私は目を開け、圭汰も私から視線を外した。


「・・・あっ、佳月(かづき)からだ」