しかも、顔の距離もすごく近くて。
いきなりのことだったため、圭汰も私も驚いた。
私はすぐさま視線を逸らす。
私達の間にどこか気まずい空気が漂って、何を言おうか必死に考えていると、信号が青に変わった。
圭汰が車を発進させ、何となく気まずい雰囲気のまま、私達はドライブを続けた。
でも、少し照れくさく甘酸っぱいその雰囲気は、決して居心地が悪いものではなく、むしろ圭汰と付き合っていることを再認識させる良い時間だったため、私は幸せを感じていた。
「あー、旨かったな」
「ねっ!お腹いっぱいだよ」
圭汰が連れて来てくれたラーメン屋で昼食をとった私達は、満足してお店を出た。
そして、再び圭汰の車に乗る。
「・・・なあ、冬穂」
「ん?なに?」
「今日は、ありがとうな」
「へっ?どういうこと?」
「いや・・・なんか、言いたくなって」
圭汰は首筋をさすりながら、照れた様子でそう言った。