実は、三年生に進級してから考えると、これが初めてのデートで、とても気分が上がっている。

きっと、この車の助手席は奥さん用なのだろうけど、今は私が座っている。
それだけで、ちょっぴり優越感を抱いてしまった。


CDデッキの再生ボタンを押すと、ゆったりとした洋楽が流れ始める。

「・・・よしっ」
「ご飯、どうする?」
「んー・・・県越えてから食べようよ。そこの有名な料理とか!」
「何かあったっけなー・・・」

うーん、と考えるように顎をさすった圭汰。


やっぱり私、圭汰の横顔、好きだなあ。

そんな風に思って、ボーっと圭汰を見つめていると、赤信号に引っかかったのか、車が止まった。


すると、

「あっ!そういえば、有名なラーメン屋があった!」

と、何かを思い出して、勢い良くこちらを向いた圭汰と、目が合う。